当社ではヒトやウシの糞便からDNA抽出が可能なISOSPIN Fecal DNAを販売しています。本キットは、ビーズ破砕によって強固な細胞壁を効率よく破砕し、スピンカラムを用いて高純度なDNAを回収できます。日本マイクロバイオームコンソーシアム(JMBC)をはじめ、大学、公的研究機関、製薬メーカー、食品メーカー、受託検査会社など、多くのお客様に採用いただいております。
最近では、「他の動物種の糞便からもDNA抽出はできないの?」というお問い合わせをいただく機会が増えてきました。
そこで今回は、特に抽出が難しいと考えられる鶏糞を対象に、DNA抽出プロトコールの検討を行いました!
実験データ
詳細なプロトコール、実験データは以下(PDF)よりご覧ください。
[対象試料]
・国内の農場よりご提供いただいた587日齢の採卵鶏の糞便プール
・白色部位を極力含まない鶏糞試料 (以下、白少試料) および、白色部位を多く含むよう分取した鶏糞試料 (以下、白多試料) をそれぞれ採取
※いずれも表面を目視により選別した。
[対象製品]
・ISOSPIN Fecal DNA
[プロトコール]
ISOSPIN Fecal DNAのキットマニュアルに従って実施 (以下、一部変更あり)
・試料量を0.2 gから0.1 gに変更
・Beads Beatingの処理時間を45秒および、23秒×2セットの両パターンで検討
[解析方法]
① 吸光度測定
② PCR / アガロースゲル電気泳動
③ アンプリコンシークエンス解析
[結果]
①吸光度測定
白少試料および白多試料から、それぞれDNAを抽出し吸光度測定を行った。
| サンプル | Beads Beat条件 | 核酸(ng/μL) | A260/A280 | A260/A230 |
|---|---|---|---|---|
| 白少試料 | 45秒 | 568.7 | 1.63 | 1.91 |
| 白少試料 | 23秒×2セット* | 455.6 | 1.81 | 2.23 |
| 白多試料 | 45秒 | 38.5 | 1.12 | 2.20 |
| 白多試料 | 23秒×2セット* | 32.6 | 1.04 | 3.00 |
*サンプル温度の上昇の影響を検証するため、Beads Beat条件を23秒×2セット (1セット終了毎に冷却) の場合と、キットプロトコール準拠の45秒で比較した。
② PCR / アガロースゲル電気泳動
③ アンプリコンシークエンス解析
実験データ(PDF)よりご覧ください。
[まとめ]
今回の検証では、ISOSPIN Fecal DNAを用いて、白色部位を極力含まないように採取した鶏糞試料からDNAを抽出することができました。Beads Beatingの処理時間については、キットの標準条件である45秒および、23秒×2セットの条件のいずれにおいてもDNA抽出ができましたが、本検討では吸光度測定においてより高い純度を示した、23秒×2セットの条件を採用し、PCRやアンプリコンシークエンス解析に用いることができました。
一方で、白色部位を多く含むよう採取した鶏糞試料からは、収量および純度の良好なDNAを得ることができませんでした。カラムにアプライする上清量を増やす、糞便試料の事前洗浄などによる改善を試みましたが、いずれの方法においても顕著な改善は認められず、プロトコールの確立には至りませんでした。