酵母は厚い細胞壁に覆われているため、細胞を効率的に破砕する必要があります。
当社の一液タイプのRNA抽出試薬(ISOGEN ISOGEN-LS)では、酵素(Zymolyase)を併用するオプションプロトコールをご用意しております。
一方、スピンカラムを使用するキットでは、これまで酵母からのRNA抽出実績がありませんでした。 
そこで今回、当社のキットとZymolyaseを組み合わせることで、高品質なRNAが得られるかを検証しました。 

参考リンク: ISOGEN/ISOGEN-LSを用いた酵母からのRNA抽出はこちら

材料

①Pichia酵母(Komagataella pastoris

  • 液体培地で培養したPichia酵母(OD = 0.6程度)を約20 mL回収
  • 1.5 mLチューブに1.2 mLごとに分注し、遠心
  • 上清を除去後、-80℃に保存

②ドライイースト(Saccharomyces cerevisiae

  • YPD培地50 mL(200 mL容量の三角フラスコ)にドライイースト1袋を投入し、30℃で20分培養(ローテーター 120 rpm) 
  • 新しいYPD培地50 mL(200 mL容量の三角フラスコ)に先の培養液50 µLを添加し、30℃で培養(ローテーター 120 rpm) 
  • オーバーナイトで培養後、培養液を回収し、1.2 mLずつ分注 
  • 遠心(13,000 × g、5分、4℃)で培地を除去
  • 沈殿に氷冷Milli-Q水1 mLを加え、ピペッティング後再度遠心(同条件) 
  • 上清を除去し、-80℃で保存 

使用したキット&方法

  1. ISOGEN
  2. ISOGEN + Beads Beat
  3. ISOGEN + 液体窒素
  4. ISOSPIN Plant RNA
  5. ISOSPIN Plant RNA + Beads Beat
  6. ISOSPIN Plant RNA + 液体窒素
  7. ISOSPIN Plant RNA + 酵素(Zymolyase、反応時間 10分)
  8. ISOSPIN Plant RNA + 酵素(Zymolyase、反応時間 1時間)

スタート試料量:Pichia酵母は他条件の1/4、ドライイーストは他条件の1/3で検討。事前準備:Zymolyase buffer(0.9 M Sorbitol、0.1 M EDTA、50 mM DTT[pH 7.5])を調製し、0.2 µmフィルターで滅菌。 

詳細なプロトコール(PDF)はこちらからご覧ください。

結果

各条件の吸光度測定結果を以下の表に示します。

①Pichia酵母(Komagataella pastoris

 抽出試薬 収量(ng/μL) A260/A280 A260/A230
1.ISOGEN未検討
2.ISOGEN + Beads Beat未検討
3.ISOGEN + 液体窒素1122.9 ng/μL2.222.50
4.ISOSPIN Plant RNA2.41 ng/μL1.780.57
5.ISOSPIN Plant RNA + Beads Beat 278.3 ng/μL2.232.45
6.ISOSPIN Plant RNA + 液体窒素 1172.2 ng/μL2.272.50
7.ISOSPIN Plant RNA + 酵素
(Zymolyase、反応時間 10分)
スタート試料量は他の1/4量で検討
16.42 ng/μL1.901.61
8.ISOSPIN Plant RNA + 酵素
(Zymolyase、反応時間 1時間)
スタート試料量は他の1/4量で検討
109.9 ng/μL2.182.25

ドライイースト(Saccharomyces cerevisiae)

 抽出試薬 収量(ng/μL) A260/A280 A260/A230
1.ISOGEN21.7 ng/μL2.171.31
2.ISOGEN + Beads Beat3627.4 ng/μL2.222.59
3.ISOGEN + 液体窒素2073.7 ng/μL2.242.65
4.ISOSPIN Plant RNA1.71 ng/μL4.750.70
5.ISOSPIN Plant RNA + Beads Beat 86.38 ng/μL2.202.32
6.ISOSPIN Plant RNA + 液体窒素1150.1 ng/μL2.302.56
7.ISOSPIN Plant RNA + 酵素
(Zymolyase反応時間 10分)
スタート試料量は他の1/3量で検討
977.7 ng/μL2.252.40
8.ISOSPIN Plant RNA + 酵素
(Zymolyase、反応時間 1時間)
スタート試料量は他の1/3量で検討
1146.3 ng/μL2.272.40

まとめ

  • ドライイーストでは、ISOSPIN Plant RNAとZymolyaseの併用により、高収量のRNAを得ることができました。 
  • 一方、Pichia酵母では、Zymolyaseによる効果は確認できませんでした。 

各手法で得られたRNAの電気泳動結果や、Zymolyaseの添加量・反応時間の詳細は、以下のPDFをご参照ください。